私はこれまでに200名以上のプロコーチ、及びプロ志望のコーチと直接関わってきました。
その経験を通して言えることは、プロコーチで結果の出せない人はあるパターンに陥っているということです。
そこで今回は、プロコーチで失敗する人が陥る3つのパターンをご紹介します。
これからプロコーチで起業しょうと考えている人、また既にプロコーチで活動している人も、もしかしたらこの3つのパターンの内のどれかに陥っているかも知れないのでチェックしてみて下さい。
ただ、今回お話しすることは、少々現実的なアプローチになるので、あなたにとってうるさく余計なお節介になるかも知れませんが、とても大事なことをお話しするので、ぜひ最後までお読み頂ければ幸いです。
1. ドリーマータイプ
ドリーマータイプは、「まぁ何とかなるだろ・・」でプロコーチになる人のことです。
昨今の個人起業家ブームが追い風となり、フリーランスやノマドといった縛られない自由なワークスタイルに憧れ、夢だけで起業してしまいます。
彼らの多くが自己啓発や起業セミナー、資格ビジネスなどの謳い文句に触発され、「自分も好きなこと、やりたいことで成功できる!」というような夢物語を信じています。
そして、「よし、やりたいことで稼ぐぞ!」と意気揚々とプロコーチで独立起業するわけですが、ほんの数ヶ月で「こんなはずじゃなかった・・」と現実の壁にぶち当たります。
彼らも立派な社会人ですから、冷静に考えれば好きなこと、やりたいことで簡単に稼げるなど、世の中そんなに甘くない事は十分に理解できているはずなのですが、いざ自分事になると人は客観視できないものです。
私は好きなこと、やりたいことで成功することがまったくあり得ないことだとは思っていません。
むしろ、起業家は好きなこと、やりたいことで成功すべきであるとさえ思っています。
ただ、それがビジネスモデルなのかが問題であると言いたいのです。
夢や情熱だけでは利益は生まれません。
利益を生み出すことが出来なければ経営を続けていくことはできないのです。
起業することは誰でも簡単にできますが、事業を長期的に存続さることができる起業家は全体のわずか10%に満たしません。
そんな厳しいビジネスの世界を、経営のド素人が「コーチングが好きだから」「コーチになりたいから」だけで成功できるほど世の中甘くはありません。
ここであなたに質問します。
「あなたのビジネスは5年後どうなっていますか?」
この問いにあなたは明確に答えることができますか?
これと同じ質問をドリーマータイプの人にすると、何とも曖昧な答えしか返ってきません。
何故なら彼らは目先のことしか考えておらず、先を見据えた経営戦略を立てていないからです。
驚くことに彼らの中には起業することがゴールになってしまって、そこから先が行き当たりばったりの人もいます。
我々コーチはクライアントに「目標設定」の重要性を説く人間です。
その人間が自分のビジネスの目標設定を明確にできていないとは本末転倒です。
5年後、あなたのビジネスはどんな発展|成長を遂げているでしょう?
5年後のために4年後にはどんな状態を手に入れる必要がありますか?
3年後は?
2年後は?
1年後は?
半年後は?
1ヶ月後は?
1週間後は?
5年後のために「今日何をする必要がありますか?」
先を見据えた目標を立てるからこそ明確なアクションプランが決まります。
あなたには5、10年先まで利益を生み出すための経営戦略を持っていますか?
まさかその場しのぎで厳しいビジネスの世界を勝ち抜いていけると思っていませんよね?
「プロコーチはコーチングを提供できさえすれば何とかなるだろう・・」で起業すると、あっという間に廃業という悲しい結末が待っています。
あなたは自分だけは大丈夫と高を括っているかも知れませんが、おそらく、いや、極めて高い確率でそうなる可能性があります。
だから悪いことは言わない、路頭に迷う前にプロコーチで起業するのを今一度考え直した方がいいと思います。
ビジネスは運や偶然で起こすものではありません。
ビジネスには必然になる公式が必要なのです。
2. スペシャリストタイプ
スペシャリストタイプは、コーチングスキルを上げることばかりにフォーカスして、クライアントを獲得する方法を知らない人です。
これはスキルを必要とする職業だからこそ陥いってしまうワナと言えるかもしれません。
コーチングという形のないものを売るので、どうしても資格やスキルに依存してしまうのです。
このタイプは完璧主義や最上志向の人が非常に多く、より高いレベルのスキルを求め、追求し、極めようとします。
それ自体は大変素晴らしいことなのですが、それが災いしてスキルを極めることが、お客様に選ばれる条件だと思い込んでいるのです。
しかし、スキルを極めようとすればするほどビジネスからどんどんかけ離れていく現象が起きてしまいます。
それはなぜなのか?
その理由は、お客様の満足度を追求するはずのスキルが、いつしか自分の満足度を追求してしまっているからです。
しかし、当の本人はスキルの追求はお客様のためだと思い込んでいるので、頑なにコーチングスキルにこだわります。
スキルアップのためにいくつものコーチングスクールや団体を渡り歩く人も少なくありません。
いわゆるスキルコレクターと言われる人がこのタイプです。
プロとして常に高みを目指し学び続けることはとても大切なことです。
ただ、それだけ投資しているにもかかわらず、そのスキルで思うように稼げていないとなると本末転倒です。
私自身も過去には数々と投資してきた身なのでその気持ちは痛いほどよく分かります。
プロフィールに資格やスキルをズラリと並べればお客様は自分を認めてくれると信じていました。
しかし、その思い込みが自己満足に過ぎないと気付くのはビジネスの本質を知ってからです。
お客様は資格やスキルでコーチを選んだりしません。
医師や弁護士のような国家資格であるならまだしも、コーチのような民間資格は正直あってもなくても問題はありません。
その証拠にコーチの資格を持っていない、あるいは資格に頼らずとも、お客様から選ばれているコーチは世の中にはたくさんいます。
どれだけ凄い資格やスキルを持っていようと、一銭の銭にもならないのならそれはただの机上の空論に過ぎません。
プロとして肝心なことは、お客様のお役に立ち、その対価を得ることです。
スペシャリストタイプは、スキルにこだわり過ぎてビジネスの全体像を捉えていません。
プロコーチの仕事は、コーチングスキルを極めることではありません。
プロコーチの仕事は、「クライアントに結果を出させること」です。
プロとしてスキルのない者は論外ですが、本質はお客様の役に立つためのスキルであり、自分の自己満足のために極めるスキルではないということを肝に銘じておかなければなりません。
3. メンタルブロックタイプ
メンタルブロックタイプは、「売る、稼ぐ、儲ける」といったお金に対して心理的な罪悪感を持っている人のことです。
コーチにはお金に対してメンタルブロックを持っている人が非常に多いのですが、この考えを持ったままビジネスを行うことは不可能です。
ボランティアならまだしも、プロである以上は利益を生み出すことが出来なければ経営を続けていけません。
「そんなの当たり前じゃないか・・」と思われるかもしれませんが、プロコーチの中には正当な対価を得ることにさえブレーキが掛かる人が多く存在するのです。
彼らも心の中では正当な対価を得たいと思ってはいるのですが、その一方でそんなに貰ったら申し訳ないと感じてしまうのです。
なぜ多くのコーチはお金に対してこのようなメンタルブロックを持ってしまうのでしょうか?
それは、「金儲けは悪だ」という固定観念です。
これはもはやコーチに限っての問題ではないのかも知れませんが、我々は幼い頃から大人たちにお金を儲けることは悪いことだと教育されてきました。
「お金は必要最低限あればいい、お金よりも大切なものがある」と教え込まれてきたのです。
TVドラマや映画に出てくる金持ちも、大抵は悪者に設定されています。
例えば、時代劇を思い出して欲しいのですが、そこに出てくる儲けている商人は決まって悪代官と繋がっていますよね?
「越後屋、おまえも悪よのぅ・・」と賄賂と引き換えに悪事を口封じさせるワンシーンが思い浮かびます。
このように、お金は邪悪なものであるというイメージが、我々の深層心理に強く刷り込まれているので、お金を稼ぐ、儲けることに対して無意識にブレーキを掛けてしまうのです。
しかし、このメンタルブロックを持ったままだとビジネスは成立しないので何とかしなければいけません。
プロコーチとして商品を売り、気持ち良くお金を稼ぎ、儲けるようになるにはどうすればいいのでしょうか?
それはお金に対する捉え方をほんの少しだけ変えれば良いのです。
例えば、私はコーチングビジネスを行う上で、「売る、稼ぐ、儲かる」を以下のように捉えています。
- 『なぜ売るのか?』=『お客様を幸せにするためです』
- 『なぜ稼ぐのか?』=『たくさんのお客様を幸せにするためです』
- 『なぜ儲かるのか?』=『たくさんのお客様を幸せにしている証です』
あなたが売れば売るほど、稼げば稼ぐほど、儲かれば儲かるほど、それに比例してお客様がどんどん幸せになっていくイメージです。
これこそが、「WinWinの関係性」を目指すコーチングビジネスの在り方ではないでしょうか?
そして、あなたもまた自分が幸せになるために、色んな商品やサービスを買えば、あなたが儲けたお金は、また他の誰かを幸せにし、社会がどんどん豊かになっていくのです。
お金に対する正しい解釈を身に付ければ、「売る・稼ぐ・儲かる」ことへのメンタルブロックなど、あなたにとっても、お客様にとっても、社会にとっても無意味であると理解できます。
また、これはメンタルブロックとはちょっと意味合いが違うのですが、料金を安くすればお客様に選ばれると思い込んでいるコーチが非常に多い。
しかし、これは大きな間違いです。
料金を安くすることは逆効果です。
実際料金を下げてコーチングを提供しているコーチを対象にリサーチをしたところ、彼らがまったくと言っていいほどお客様に選ばれていないというデータがあります。
これは、「料金が安い」=「お客様に選ばれる」という方程式がコーチングビジネスでは通用しないということを意味します。
料金が相場より安いということは、お客様からすれば「安いのはそれだけの価値しかないのだろう・・」と考えてしまうからです。
もちろん、料金が安くても良いコーチはたくさんいますし、高くてもガッカリするようなコーチはたくさんいます。
しかし、これに関してはもはや料金の問題と言うよりも、コーチの実力の問題になってきます。
それに考えてみてください、あなたがコーチを選ぶ時料金の安さで選んだりしますか?
選ばないですよね?
コーチングという目に見えない無形の商品を売るビジネスでは、料金の安さが購買決定条件になることはまずありません。
なぜなら、料金が安ければどんなコーチでも良いという訳にはいかないからです。
ましてやコーチをつける人というのは自分のビジネスや人生に対して非常に意識の高い人です。
彼らは自分の求める価値の値段がどれくらいのものなのかをちゃんと知っています。
言い換えれば彼らは正しいお金の使い方を知っている人だと言えます。
その人たちが安さでコーチを選ぶことはまずあり得ません。
料金を下げることは、あなたが提供するコーチングの価値を下げることになり兼ねないということをしっかり理解しましょう。
あなたが自信を持って価値あるものを提供できれば、堂々とそれ相応の料金を請求すれば良いのです。
あなたがあれこれ考えなくともお客様は馬鹿ではありません。
お客様は価値あるものに対してはそれに値する対価を気持ち良く支払ってくれます。
お客様は自分の得たい結果を手に入れることができるのなら、喜んであなたにお金を払ってくれるのです。
このように、お金の問題については正しい見方と捉え方さえ知れば、自分にとっても、お客様にとっても、延いては社会にとっても、良い効果をもたらすということが理解できるはずです。
まとめ
さていかがだったでしょうか?
どのタイプも事業を経営するという根本的なラインから大きく外れていることがよく分かります。
あなたがプロの世界で結果を出すには、「コーチという専門家としての能力」と、「経営者として利益を生み出す能力」の2つが備わっていなければなりません。
これを機にもう一度あなたのプロコーチとしてのスタンスを見直してみてはいかがでしょうか?
今回の記事があなたのお役に立てることを願っております。
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