コーチングのやり方を学びたいですか?
コーチングの構成は非常にシンプルで、学べば誰でも使えるようになります。
もちろん、プロレベルのコーチングスキルを身に付けるとなると、それなりのトレーニングと実践を積み重ねなければなりませんが、仕事や家庭、プライベートで活用するレベルならすぐに使えるようになります。
例えば、仕事の現場では、部下の育成やチームの強化に活用できるでしょう。
家庭では、子育てや家族の問題に活用できるでしょう。
プライベートなら、恋人や友達の悩み相談などに活用できるでしょう。
このように、コーチングは人の成長や問題解決能力の向上など、様々なシーンで活用することができます。
そこで今回は、コーチングのやり方を、どこよりも分かりやすく丁寧に解説します。
ぜひ最後までお読み頂ければ幸いです。
コーチングとは何なのか?
コーチングのやり方を学ぶ前に、まずコーチングとは何なのかを分かりやすく解説します。
コーチングの定義は、団体やスクールなどの違いによって若干表現は違いますが、基本にある考えはすべて同じです。
コーチング(英:Coaching)とは、促進的アプローチ、指導的アプローチで、クライアントの成長や学習、変化を促し、相手の潜在能力を解放させ、最大限に力を発揮させることを目指す能力開発法、クライアントを支援するための相談(コンサルテーション)の一形態である。
Wikipedia
コーチングとは「相手が持っている可能性や能力を引き出し、最大限発揮できるようにサポートすること」です。
コーチングには、相手の必要とする答えは相手の中にあるという考えがあります。
この考えに基づき、相手に答えを教えてあげたり、代わりにやってあげるということはありません。
あくまでも相手の中から「答え」を引き出すことがコーチングの基本になります。
コーチングが機能する領域
コーチングを推奨する立場にある人は、コーチングがまるで魔法でもあるかのように、「誰にでも」「何にでも」効果があると謳いますが、コーチングが機能する領域は非常に限定的です。
以下の図をご覧ください。
「重要度」と「緊急度」で切り分けると、4つの領域ができます。
この4つの領域で、コーチングが機能するのは、オレンジの枠の中にある「重要だが緊急ではない事象」です。
一見すると、「重要かつ緊急である事象」もコーチンが機能するように思えますが、これはコーチングは必要ありません。
なぜなら、緊急度が高いものはやらざるを得ない状況にあるので、選択の余地はないからです。
この場合はコーチングよりも、ティーチングの方が機能します。
一方、「重要だが緊急ではない事象」は、重要であると認識しているけれど、緊急でないためになかなか手を付けられないものです。
例えば、夢や目標の準備や計画、価値観の明確化、豊かな人間関係の構築、健康的な身体作り、自分磨きなど、相手の成長や将来を豊かにするものに対してコーチングは非常に機能します。
コーチングとティーチングの使い分け
前述した通り、コーチングが機能する領域は「重要だが緊急でない事象」です。
相手の状態によっては、コーチングよりもティーチングが必要な場合があります。
例えば、相手がモティベーションは高いけれど、問題解決能力がないような場合は、ティーチングによって問題を解決するための知識、技術、方法などを教えてあげる必要があります。
逆に、相手がモティベーションが低く、問題解決能力が高い場合は、コーチングによってやる気や動機付けを行うと効果的です。
このように、相手の状態や状況を見極め、コーチングとティーチングを使い分けることが重要になります。
コーチングの基本スキル
コーチングには、実に100種類以上のスキルがあり、相手の状態や状況に合わせて、それらを巧みに使い分け、目標達成や問題解決をサポートします。
しかし、コーチング初心者にいきなり100種類のスキルを使いこなせるわけがないので、ここではコーチングの基本である3つのスキルをご紹介します。
基本ですが、この3つのスキルを完璧に使いこなせるようになれば、素晴らしいコーチングができるようになります。
コーチングの基本スキルは以下の3つです。
- 傾聴スキル
- 質問スキル
- 承認スキル
一つずつ詳しく説明します。
傾聴スキル
傾聴スキルとは、相手の話を積極的に聴く技術のことです。
傾聴スキルのポイント
- 相手の話を徹底的に聴く
- 相手のことを理解しながら聴く
- 決めつけず相手に確認しながら聴く
- 相手の話を促進しながら聴く
- 沈黙を恐れない
など、コーチングの傾聴は、ただ相手の話を聴くというわけではなく、しっかり目的をもって聴くことが求められます。
傾聴スキルについてはこちらの記事をで詳しく解説しています。
質問スキル
質問スキルとは、質問によって相手の中にある答えを引き出す技術のことです。
質問スキルのポイント
- 新しい視点を持たせる
- 知識やスキルの棚卸し
- 選択肢を増やす
- チャンスを広げる
- アイデアを発展させる
- 問題を明確にする
など、コーチングの質問は、相手の中にありながら本人がまだ気づいていない答えを引き出し、気付かせることが求めれらます。
質問スキルについてはこちらの記事をで詳しく解説しています。
承認スキル
承認スキルは、相手を認め、安心させたり、やる気にさせたり、自信をつけさせる技術のことです。
承認スキルのポイント
- 相手の存在そのものを認める
- 相手の考えを認める
- 相手の思いを認める
- 相手の変化を認める
- 相手の成長を認める
- 相手の成果を認める
など、コーチングの承認スキルは、相手を認めていることを伝えることで、人が持つ「自尊の欲求」を満たし、相手に自己肯定感や自己肯定感を養わせることが求められます。
承認スキルについてはこちらの記事をで詳しく解説しています。
コーチングの進め方:準備編
ここからは、いよいよコーチングの進め方について解説していきます。
コーチングを行うには、まず事前の確認や環境を整えることが始めます。
コーチングを始める前の確認
コーチングはいきなり始めても上手くいきません。
特に初心者は、コーチングを行う前に、相手にこれからコーチングを行うということを伝え、許可を得ると良いでしょう。
例えば、
- 今からコーチングを行うけど大丈夫ですか?
- 今コーチングの勉強をしているから練習相手になってくれますか?
など、相手にコーチングを受ける心構えをしてもらいましょう。
もし相手がコーチングを知らない場合は、コーチングがどういうものか、そして安全であるということをしっかり説明しましょう。
環境をつくる
コーチングは環境が非常に重要です。
会話に集中できる静かな場所を確保しましょう。
また、コーチングはプライベートな内容を扱うことも多いので、周りに人がいない場所を選びましょう。
もし、Skypeや電話を活用してコーチングを行う場合は、通信環境の整った場所で行うようにしましょう。
コーチング進め方:実践編
コーチングを行う許可を得て、環境を整えたら、いよいよコーチングを始めていきます。
コーチングの流れは以下の通りです。
①目標の明確化
コーチングの肝は「目標」の明確化です。
目標が設定されなければコーチングが先に進めることができません。
まずは相手から目標を引き打出しましょう。
目標を明確化するための質問例
- 今手に入れたいことは何ですか?
- 今解決したいことは何ですか?
- どんな状態を手に入れたいですか?
など、相手の目標を引き出す質問を投げかけましょう。
ちょっと待って下さい!
その目標は、その人にとって本当に手に入れたい目標でしょうか?
実は、相手は自分の本当の目標に気付いていないことがほとんどです。
本当の目標でないものをコーチングしても成果は上がりません。相手の本当の目標を引き出すには、簡単に相手の目標を鵜呑みにせず、相手の発言にじっくり耳を傾け、相手の深いところに目を向けなければなりません。相手がまだ気付いてない本当の目標を引き出すのがコーチの役目なのです。
相手の本当の目標を引き出す質問例
- どうしてその目標を達成したいのですか?
- その目標を達成することで何が得られるのですか?
- その目標を達成すると仕事や人生にどんな影響があるのですか?
など、目標を達成する「目的」を明確にすることが非常に重要です。
そして、目標を設定する時は、「Have to=しなければならい目標」ではなく、「Want to=心から達成したい目標」である必要があります。
コーチングの目標設定は、相手が本当に、本当に達成したい目標を設定することがポイントです。
②現状とギャップの明確化
相手の本当の目標を設定できたら、次は現状とギャップ(障害)について明確にしていきます。
目標(ゴール)に向かうためには、現状(スタート地点)を明確にしなければスタートできません。
現状を明確にする質問例
- 目標に対して今どういう状況ですか?
- 目標達成が100点満点としたら、今は何点ですか?
- 目標に対して現状で上手くいっていること、上手くいっていないことは何ですか?
など、相手の現状を客観的に捉えることで、事実確認を行います。
次に、目標を達成するにあたってギャップ(障害)になっているものを明確にします。
ギャップを明確にする質問例
- 現状で満足できていないことは何ですか?
- 目標に対して制限となっているものは何かあるますか?
- 目標に対してやろうと思いながらできていないことは何ですか?
など、目標達成の妨げになっていることを明確にします。
目標に対しての現状とギャップを明確にできたら、後はそのギャップを埋めるだけです。
③リソースの棚卸し
ここでは、目標を達成するために使えるすべての「リソース=資源」を棚卸ししていきます。
ここで言うリソースとは、人脈、時間、お金、知識、経験、情報など、目標達成に使えるすべてものを指します。
リソースは誰もが持っていますが、本人がそれをリソースだと気づいていないものもたくさんあるので、使えそうなものはすべてリストアップしていきます。
リソースを引き出す質問例
- これまでの経験で目標達成に活かせるものはありますか?
- 目標達成に向けて協力してくれそうな人は誰ですか?
- 目標達成に必要な情報はどこで手に入れることができますか?
など、リソースはたくさんあればあるほど目標達成に活かすことができるので、引き出せるだけ引き出しましょう。
もしリソースが少ない、もしくはリソースが足りない場合は、リソースを作る必要があります。
リソースを作るため質問例
- 目標達成に必要なスキルや知識はなんですか?
- 目標達成に必要な情報は何ですか?
- 私が協力できることは何かありますか?
など、相手からリソースを補うための工夫やアイデアを引き出しましょう。
④行動計画
ここまできたら、目標達成に向けての行動計画を立てます。
行動計画のポイントは、目標達成のために、すべきこと、できること、できそうなことを引き出すことです。
できないことを無理にしようとすると、必ず途中で諦めてしまいます。
また、〇〇しなければならない、〇〇すべきだというような義務感の強いものについても、モティベーションが続かないので行動は止まってしまうでしょう。
行動計画は、本人が自分からやってみたいと思えるものにすることが重要です。
行動計画を立てる質問例
- 目標達成に向けて今すべきことは何ですか?
- 目標達成に向けて今できることは何ですか?
- 目標達成に向けて今できそうなことは何ですか?
など、目標に向けての行動を引き出しましょう。
行動を引き出せたら、具体的な行動計画を立てていきます。
具体的な行動計画の立て方
- 何から始めますか?
- いつから始めますか?
- いつまでに完了させますか?
- どこでやりますか?
- 誰とやりますか?
- どのようにやりますか?
など、行動を徹底的に具体的しましょう。
ワンポイントアドバイス
行動計画を立てる時は、リソースも引き出しておきましょう。使えるリソースは何か?また必要なリソースは何か?を明確にすることで、より行動を起こしやすくなります。また、ギャップ(障害)も明確にしておきましょう。行動を起こす上で障害になりそうなことは何か?またその対策も立てておきましょう。
振り返りとフォロー
行動計画を立てたら、最後はコーチングの振り返りをします。
このコーチングで気付いたこと、手に入れたことを整理しましょう。
そして、行動計画で決めたことをに対して約束を交わします。
約束を交わす時は、本人の言葉で宣言してもらいましょう。
この時、何か感じたことや、提案、アドバイス、期待などがあれば相手に率直に伝えましょう。
最後の最後にフォローの約束を交わします。
コーチングは、一回コーチングをして終わりではなく、継続的なフォローを行うことが重要です。
フォローの約束を交わす例
- 次はいつコーチングしますか?
- 結果の報告はいつしてくれますか?
- 私がサポートできることはありますか?
など、継続的に相手と関わることで、信頼関係が築かれ、相手の目標達成をより効果的にサポートできるようになります。
まとめ
さていかがだったでしょうか?
コーチングのやり方について分かりやすく丁寧に解説しました。
コーチングに興味があり、活用してみたいという人には入門編として参考になったのではないでしょうか?
ぜひ実践してみて下さい。
今回の記事があなたのお役に立てることを願っております。
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