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コーチングの承認スキル:プロが教える承認の種類と方法

承認スキル コーチング

コーチに限らず人を育てる立場にある人にとって、承認スキルは今最も身に付けるべきコミュニケーションスキルであると言われています。

なぜなら、人が自己実現するためには、自分の存在を他者から認めてもらうことが必要不可欠だからです。

しかし、承認をただ褒めれば良いと勘違いしている人が多く、相手の成長を妨げているケースも少なくありません。

そこで今回は、コーチングスキルの「承認」について詳しく解説していきたいと思います。

これからコーチングを学ぶ人はもちろんのこと、既にコーチ歴のある人にも非常に役立つ内容になっています。

ぜひ最後まで読んで頂ければ幸いです。

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1. 人にはなぜ承認が必要なのか?

心理学者のA・マズローが提唱する「欲求の5段階説(自己実現理論)」をご存知でしょうか?

マズローは、人が自己実現するためには5つの欲求の段階があると説きました。

マズロー欲求の5段階悦欲求の5段階の中で注目すべき点は、「社会と愛の欲求」と、「承認の欲求」の2つの欲求です。

社会と愛の欲求
自分が社会に必要とされている、果せる社会的役割がある、情緒的な人間関係・他者に受け入れらているなど、どこかに所属したいという欲求
承認の欲求
自分が集団から価値ある存在と認められ、尊重されることを求める欲求

「社会と愛の欲求」と「承認の欲求」は、どちらも自分一人の力で満たすことができない欲求です。

人と人との関わり合いの中で、自分の存在を受け入れてもらえたとき、自分の存在を認めてもらえたときに、これらの欲求を満たすことができます。

つまり、人が健全な社会生活を送り、自己実現するためには、他者から承認されることが必要不可欠であるということです。

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2. 褒めることは承認か?

人を育てる上で、褒めることは非常に重要です。

近年、子育てや教育、企業の人材育成、アスリートの育成など、あらゆる場面で「褒めて育てる」という手法がクローズアップされています。

承認は、「相手を褒めることである」という考えがありますが、それは少し違います。

なぜなら、褒めることには条件が必要ですが、承認には条件は必要ないからです。

例えば、褒めることには以下のような条件が必要になります。

  • 褒めることは、褒める人の主観や基準で行うため、人によっては素直に受け取れない場合がある。
  • 褒めることは、その人の良い点を見つけたり、成果を上げなければ褒めることができない。
  • 褒めることは、おだてること、お世辞を言うことと、混同してしまうことがある。

など、褒めることには、「誰に」、「何を」、「どのように」、といった条件が必要になります。

コーチングで行う承認は、相手の存在そのものを認めることなので、特別な条件は必要ありません。

無条件であるからこそ、相手は素直に受け止めることができるのです。

3. 相手の何を承認すれば良いのか?

承認は相手を無条件で認めることですが、具体的には相手の何をどう認めれば良いのでしょうか?

効果的な3つの承認ポイント

  1. 相手の存在を承認する
  2. 相手の成長を承認する
  3. 相手の成果を承認する

一つずつ詳しく説明します。

3-1. 相手の存在を承認する

相手の存在を認めるということは、相手に関心があることを伝え、「自分はここにいていいんだ」、「私は必要とされている」という安心感を与えることです。

具体的には、挨拶をする、名前で呼ぶ、会話をする、相談する|相談に乗る、用事|仕事を任せるなどです。

承認するときは、口先ではなく、心を込めて伝えなければ意味がありません。

例えば、挨拶するときは、相手の方を向き、視線を合わせて行わなければ承認したことにはなりません。

3-2. 相手の成長を承認する

人は、自分の変化にはなかなか気付かないものです。

周りの人から自分の変化ついて伝えてもらえることで、自分自身の成長を確認することができます。

例えば、「会議での発言が多くなった」、「以前より半分の時間で仕事ができるようになった」など、成長を承認することで、人は自己成長を実感することができます。

相手の成長に承認を行うには、普段から相手に関心を持ち、言動などを観察する必要があります。

例えば、「髪型が変わった」、「メガネを変えた」、「笑顔が増えた」などの小さな変化を承認することが重要です。

目に見える大きな成長のときだけここぞとばかりに承認しても、相手から信頼を獲得することはできません。

3-3. 相手の成果を承認する

人は目標を達成したり、問題を解決できたことを、他者から賞賛されることで自信を育み、次への目標に向けての意欲が生まれます。

しかし、成果を承認することは、大きなことを成し遂げたときだけに行うわけではありません。

むしろ、その人が成果と感じていないことや、頑張ったけれど成果を出せなかったときにも承認することが重要です。

例えば、

  • できなかったことができるようになった
  • 以前よりも上手くできるようになった
  • 主体的に取り組むことができた
  • 最後まで諦めずに取り組むことができた
  • 失敗から大事なことを学ぶことができた

など、成果だけではなく、プロセスをしっかり承認することで、相手に自信を与えたり、未来へ活かすリソースに気付かせることができます。

4. 承認の3つのメッセージ

承認は、ただ行えばいいというわけではありません。

あなたが承認しているということを、相手に正しく受け取ってもらわなければ承認したことにはなりません。

承認には大きく分けて3つの伝え方があります。

  1. YOU(あなた)メッセージ
  2. I(私)メッセージ
  3. WE(私たち)メッセージ

一つずつ詳しく説明します。

4-1. YOU(あなた)メッセージ

YOUメッセージとは、「あなたは○○です」という、YOU(あなた)が主語になるメッセージです。

YOUメッセージは、相手の存在の素晴らしさをストレートに伝えることができます。

例えば、

  • 「元気がいいね」
  • 「仕事が丁寧だね」

など、YOUメッセージは、相手に対する承認メッセージを直接的に伝えることができます。

但し、YOUメッセージは、相手との関係性や伝え方によっては評価と受け取られる場合があるので、伝えるときは上から目線にならないように注意しましょう。

4-2. I(私)メッセージ

Iメッセージとは、「私は○○だと思う」という、I(私)が主語になるメッセージです。

Iメッセージは、相手の存在や行動によって自分がどのような影響を受けているのかを相手に伝えることができます。

例えば、

  • 「君がいてくれるおかげで心強いよ」
  • 「君が成功したことが自分のことのように嬉しいよ」

など、Iメッセージは、YOUメッセージとは違い、自分の思いや感じたことを伝えるので、相手が抵抗感なく受け取ることができます。

Iメッセージは、普段使わないような表現のため、少々照れ臭い面もあるかも知れませんが、だからこそ、言葉にして相手に伝えると効果があります。

4-3. WE(私たち)メッセージ

WEメッセージとは、「私たちは○○だと思う」というWEが主語になるメッセージです。

WEメッセージは、相手の存在や行動によって私たちが(集団が)どのような影響を受けているのかを相手に伝えることができます。

例えば、

  • 「あなたがいるだけでチームの士気が上がるよ」
  • 「あなたの発言によって会議の雰囲気が一瞬で和んだよ」

など、WEメッセージは、相手の存在が「個」ではなく「場」に与える影響を承認するので、Iメッセージよりもより大きな影響力を相手に伝えることができます。

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まとめ

さて、いかがだったでしょうか?

承認は、相手の自己実現に欠かすことのできない重要なコミュニケーションスキルです。

ただ褒めれば良いというものではありませんし、小手先のテクニックで行うものではありません。

あなたが心からそう思っているものでなければ、相手には伝わらなうということを忘れないで下さい。

今回の記事があなたのお役に立てることを願っております。

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