「コーチングはフィードバックを受けるためにある」と言っても過言ではありません。
コーチのフィードバックはそれほどクライアントの目標達成に多大な効果をもたらします。
しかし、フィードバックはする側|される側にとって非常にリスクを伴うため、的確なフィードバックを行うことができずに悩んでいるコーチも多いのが現状です。
そこで今回は、コーチングスキルの「フィードバック」について詳しく解説していきたいと思います。
これからコーチングを学ぶ人はもちろんのこと、既にコーチ歴のある人にも非常に役立つ内容になっています。
ぜひ最後まで読んで頂ければ幸いです。
1. フィードバックとは?
フィードバック(feedback)とは、「相手から伝わってくるものを相手に返す」という意味です。
元々フィードバックの「フィード(feed)」とは「フード(food)」を語源とする食べ物を意味します。
このことから、フィードバックは、「相手の成長に必要な栄養を与えること」と言い換えることができます。
コーチングでは、相手が目標を達成するために、今どのような状態にあるかを客観的視点で相手に伝えることをフィードバックと定義しています。
人は自分自身を客観的に見ることができません。
例えば、プールで泳いでいる自分の姿をチェックできないのと同じことです。
フォームはどうか?コース取りは正確か?など、プールサイドから第三者に泳ぐ姿を俯瞰して見てもらわなければ、現状の自分の状態を把握し、改善ポイントを見つけることはできません。
この第三者の視点こそコーチのフィードバックです。
フィードバックがあるからこそ、人は目標達成に向けた正しい行動変容が起こせるのです。
2. フィードバックを行う際の注意点
相手の目標達成や成長のためを思って行うフィードバックが、かえって逆効果となることがあります。
なぜなら、フィードバックは相手にとって受け取り難い内容であることが往々にしてあるからです。
フィードバックを行う際には以下の4つのことを注意しましょう。
- 相手と信頼関係が十分に築けている
- 相手の目標達成や成長に必要なものが何か明確である
- 相手が目標達成や成長するためにフィードバックを必要としている
- フィードバックするタイミングが適切である
そして、フィードバックを行う時は、相手に許可を得ると、相手は心の準備ができ、フィードバックを受け取りやすくなります。
例えば、
- 「~について今フィードバックをしてもいいですか?」
- 「少し言いにくいことなのですが、あなたの目標達成に必要なことなので、感じていることを伝えてもいいですか?」
など、相手にフィードバックを受け取る心構えができるようにすると良いでしょう。
また、フィードバックは相手に伝えたら終わりというわけではありません。
フィードバックしたことを相手がどう受け止めているか、正しく伝わっているかということを確認する必要があります。
例えば、
- 「今のフィードバックについて、どのようなことを感じていますか?」
- 「今のフィードバックは、あなたの目標達成に役に立ちそうですか?」
など、相手にフィードバックしたことで、どんな変化があったのかを確認することが必要です。
3. 効果的なフィードバックの伝え方
フィードバックを効果的に伝える方法は、以下の2つの方法があります。
- 客観的フィードバック(YOUメッセージ)
- 主観的フィードバック(Iメッセージ)
一つずつ詳しく説明します。
3-1. 客観的フィードバック(Youメッセージ)
客観的フィードバックとは、相手の状態(行動|発言など)を見たり、聞いたりしたことを、そのまま事実として伝えることです。
例えば、
- 「今日のあなたはいつもと比べると声のトーンが低いですね。」
- 「今の会話の中で○○の話のときだけ、あなたは笑顔になりましたね。」
- 「あなたは前回必ずやってくると言っていたことをやっていません。」
など、客観的なフィードバックは、事実をそのまま伝えることで、相手に客観的な視点を持たせます。
客観的フィードバックを行うポイントは、事実をそのまま伝えることです。
自分の判断で伝えると、相手を評価したり忠告してしまうことになるので注意しましょう。
3-2. 主観的フィードバック(Iメッセージ)
主観的フィードバックとは、相手の状態(行動|発言など)を見たり、聞いたりしたことについて、自分なりに感じることを素直に伝えることです。
例えば、
- 「あなたのやり方を見てると、私は正直心配でなりません。」
- 「あなたの今の発言で、私はあなたが必ずやり遂げると確信できました。」
- 「あなたは必ずやると言っていたのにやっていないのは残念です。」
など、主観的フィードバックは自分の感じたことを、相手にストレートに伝えることです。
主観的フィードバックを行うときのポイントは、あくまでも自分の責任で伝えるということです。
「普通はこうです」「みんな思っている」など、責任を転嫁して伝えることのないように注意しましょう。
4. フィードバックする勇気を持つ
効果的なフィードバックとは、相手にとって受け取り難いものです。
内容によっては、相手はショックを受けるかも知れませんし、感情的になって怒ってしまうかも知れません。
しかし、相手の反発や抵抗を恐れて伝えるべきことを押し殺してしまってはコーチ失格です。
コーチは相手の目標を達成させることや、成長させるために必要なことであれば、たとえ言い難いことも迷わず伝える勇気を持たなければなりません。
嫌われるかも知れないという恐れを超え、相手のために必要な情報を適切に伝えることができてこそ真のパートナーと言えます。
そもそも、フィードバックの内容が受け取りやすいものか、受け取り難いものかを判断するのは、伝える側ではなく受け取る側にあるということを忘れてはいけません。
コーチは自分の考えや感情は一先ず置き、相手に率直なフィードバックを伝えることが非常に重要です。
そして、フィードバックを相手がどのように受け取ったかをしっかり確認することを忘れないことです。
もし必要ならば、相手と十分話し合うことで、フィードバックの意図と効果を共有することができます。
まとめ
さていかがだったでしょうか?
相手にとって効果のあるフィードバックを行う秘訣は、相手に対するコミットです。
相手に対する信頼と期待、そして、相手の目標達成に向けて全力でサポートするというコーチの決意や覚悟が効果的なフィードバックを生みます。
今回の記事があなたのお役に立てることを願っております。
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